ただ君だけを想う。

あれから毎日のように柏木くんは私の高校まで迎えに来てくれて、私の家まで送ってくれるようになった。


最初は柏木くんも部活で疲れてるだろうと思って断ったけど、『海音に会いたいから』とキッパリ言われてしまったため私は何も言えなくなってしまった。


柏木くんと手を繋いで他愛のない話をして帰るのは楽しかったので、正直私も嬉しかった。


それが一週間続いた時、


『海音、』


「ん…?」


いつもはすぐバイバイするのに、今日は引き止められたため柏木くんを振り返った。


「どうしたの?」


ちょっと様子がおかしくて柏木くんの方へ近付けば、腕を優しく掴まれた。


『………』


何かを戸惑っているような柏木くんに、私はちょっと不安になった。


「柏木くん…?」


そんな私の呼び掛けに返って来たのは、思いがけない柏木くんの言葉。


『やばい、キス…したいかも』


「え…っ!?」


私は目を見開いた切り、何も言えなかった。


『ごめん、止められない』


私の返事を聞く前にそう言った柏木くんの顔が近付いて来て、そっと唇が重なった。


「………っ!!!」


数秒で柏木くんの顔はすぐに離れて行ったけど、私はびっくりし過ぎて動けなかった。


『ごめん、嫌だった…?』


優しい柏木くんは、また私の気持ちを気に掛けてくれる。


未だに言葉は出なかったけど、私は首を必死に横に振った。


『そっか。良かった。』


「(ほんとに、優しい…)」


柏木くんからのキスは、とても優しかった。


拒むことだって出来たのだ。


だけどそれをしなかったのは、私。


「(びっくりしたっていうのもあるけど…)」


嫌だと思わなかったことも、事実。