「何が無理なんだ?」 と心配そうに問いかける拓郎さんを無視して緋夜梨はみのりさんを見た。 「相沢みのりさん。そして…みのりさんのご両親の方」 そう口を開いた時、服の袖の裾を緋夜梨が握ったのが分かった。 「ごめんなさい!!春ちゃんを渡す事は出来ません!!本当にごめんなさい!!」 そう言って深々と頭を下げる緋夜梨。 俺は無意識の内に袖を掴んだ緋夜梨の手を握りしめていた。