「すごく…楽しかったです」 頬を染めながらはにかみながら言ってくる。 「もし…良かったら…、また食事にお誘いしてもよろしいでしょうか?」 控えめにでもはっきりと自分の気持ちを伝えてくる相沢さん。 「…はい。いいですよ…」 そう言うとパーッと明るい表情になって「それでは」と言ってタクシーに乗り込んだ。 本当に純粋な女性だと思った。 だからこそ辛い…。 彼女の気持ちには応えられない。 俺には…。 空を見上げると満月が見えた。 その満月を見て、俺は緋夜梨の笑顔を思い出していた。