「いってらっしゃい!」 玄関先でそう言って少し背伸びをする。 大好きな人のほっぺたにキスをするため。 ただ頬にキスをするだけで真っ赤になってしまう自分に少し恥ずかしくなりながら春ちゃんから離れた。 「いってきます。…でもいってきますのキスはこっちじゃない?」 そう言って私の頬に手を添えて春ちゃんの顔が近づく。 時が止まったかのように静かな玄関先でリップ音だけが小さく響いた。 ゆっくりと唇から離れていく春ちゃんの唇。 もう私の顔は余裕で沸騰しているだろう。