あたしは分からなくて、思いっきり、江緑君の肩を掴んだ。


だけど、江緑君は後ろからあたしの手を掴んで



「ここ」


と言って、江緑君のお腹にあたしの手が巻かれた。



……不意に体が密着してしまう。


無駄にドキドキしてしまって顔もつられて赤くなる。


「じゃあ、行くぞ。」


はい…。


ペダルが動いていくと同時に、街の景色も変わっていく。


あり得ないけれど、あたしは今、皆の憧れの江緑君の背中を一番近くで見ていて、「つまんない」が口癖だったあたしが思いもよらない契約を交わしている。



……あたし…悪魔と契約交わしたけれど…本当に好きになるとか無いよね?


思わず不安になってしまう…。


でも、あたしは悪魔の女避けのために契約彼女になってる訳で、別に恋に発展する機会はないと思う。


……良かった。


初恋がこんな人なんて嫌だしね。


うん、大丈夫。


…絶対に好きになったりなんかならない!!!!