「すいませんでした…」


逃げることよりも、まずこの言葉を言わざるを得なかった。


さぁ、ココからどうやって脱走しようか?


この悪魔は自転車に乗ってるし…。


追いかけられて捕まるのが目に見えている。



あたしも…自転車で行こうかな?


って……自転車…ちょうど家にない…。


なんで買わなかったのだろうと今後悔…。



「何してる。」



あたしの思考の中で、低い声が聞こえて強制的に引き戻された。



「早く乗れ。」


「はい?」


何に?


「俺の後ろ。」


はぃ??


江緑君がそう言って、自転車の後ろを指差して合図をした。


「あの…誰が…?」


「お前。」


「本当に?」


「早くしろ、このやりとり腹が立つ。」


……はい。



あたしは渋々江緑君の自転車の後ろに乗った。


「重っ」


かっちーん…

何それ!!!

ひどくない?


「あんたが乗れって言ったんじゃん!!」


あり得ない!!!


何様?


あ…俺様か。


「冗談だって。ムキになるな。」


クスクス笑いながら言う悪魔は本当にムカつく。



「おぃ、しっかり捕まってろ。」


……え?


「あ、はい。」


だけど、しどろもどろに手を動かせるだけで、どこに置いていいか分からない。