貸し恋彼氏〜カシコイカレシ〜




あたしがモゴモゴ口を挟んだのにイライラしているのか、チッと舌打ちをされる。


「お前は…殺されたいのか?」


……殺されたい?



そう願っている人はいるのか…?


「俺の名前を呼べ。フルネームで名前を呼ぶ馬鹿な彼女だと、俺の株が落ちる。」



ギロッと突っ張った目を光らせてこちらに顔を向ける。


そ、そんな…六…穏時の都合に合わせろなんて


ひど過ぎない?


「言え。」


すごい視線?がこちらに突き刺さる。


あたしは…意を決した。


「……ろく。」


「あ?」


「江緑……くん。」



言っちゃった…。


あたし…この人の名前言っちゃったよ…。


だけど、六…み、江緑君は顔色ひとつ変えずに歩いていく。

あたしも付いて行くけれど、足が速くて追い付けない…

ピト、

足元を見ていたのだが、江緑君の足が止まった。


顔を上げてみると…

江緑君がこちらを向いていた。


「お前の家は何処だ?」


「えっ?」


「送ってやる。」