貸し恋彼氏〜カシコイカレシ〜




あたしは自分の靴を取りに、下駄箱へと静かに移動する。



……が


「好きなんです。付き合って下さい…。」




…ココが声の主がいる場所だったらしい。


一番大きく、正確に聞こえる。


「ダメ…かな…?」


しかもこの声って…


うちのクラスの喜多山さん?


喜多山さんは、男女両方に好かれて、六穏時江緑の女の子みたいな存在だ。


まぁ、あたしは喜多山さんは好きだよ。


六穏時江緑みたいに、迷惑になってないし。


その、喜多山さんと告白をされている男の子、そしてあたしの沈黙が長く続く。


「ねぇ、ダメなの?江緑君?」


……!!!

みろくって……

「六穏時江緑!?」