【3.到底君には敵わないけど】
「見てくれ、アンナ。
君の色艶には到底届かないけど、
君と同じ髪色にしてみたんだ!」
昨日、俺は金髪にした。
アンナの写真を持って
『同じ色にしてください!』と言ったら
美容師さんはちょっと困っていたけど、
かなり近い色になったので、俺は満足だ。
「うわぁ……」
「これで、少しでも
俺の愛情が君に伝わればいいのだけど。
あ、でも、これだけじゃ全然表せない位
俺は君を愛しているんだからね!
そこんところ勘違いしないでよね!
もうね、この想いを伝え切る事なんて、
今の俺には到底不可能なんだ!
それでも、俺の命尽きるまで
俺はこの愛を伝え続け……ああ、駄目だ
何故なら俺が生きている限り、
想いも増え続けるから……!」
きゅーん。と、アンナは俺を慰めるように
鼻を髪の毛に寄せ、鳴き声を上げた。
「ありがとう、アンナ!
俺の気持ち、
ちゃんと解ってくれてるんだね!」
「最近の犬は平均寿命上がってますけど、
それでも未亡人確定ですよね」
「そんな、いきなり悲しい事
言わないでください!」
俺を置いて、
アンナが先立ってしまうなんて……!



