「奏っ。」


あいつの後を追っていく彼女を俺は問題集に視線を落としたまま、見ないふりをした。



「あっさり行かせるんだ。」


部屋に残ったのは俺と、俺が好きじゃない方の佐藤。


佐藤楓。


「しゃーないやろ。」


千秋が見てるのは俺やないんやから。