「いつも理科室から聞こえてたの、 夏目さんの声だったんだね。 楽しみにしてますっ。」 いつもと同じスーツ姿なのに いつもより優しく 先生は言った。 私、昔から本当に 歌う事しか 脳みそ働かなくて 音楽だけは一途にやってきた。 「先生、ありがと…。 今日は…」 ―先生のために歌うね。 「ん?今日は?」 心の中で強く思った。 でも声には出せなかった。 「き…今日も頑張りまっす!!」 そう言うのがもう精一杯。 作り笑いも精一杯。 手を振り、足早に 楽屋に入った。