「凛ちゃん…おはよう…」

「?おはよう」

今日の佐藤奏は元気がない。


「今日の…分…ハイ。」

「ありがと…何かあったの?」

オレンジジュースを受け取ながら
仕方ないから聞いてみる。


「別に…ただ…」

「ただ?」

「………梅雨、だね」



あぁ、雨が嫌いなのね。


「停滞前線がきてるからね」

「あぁ…もう、凛ちゃんだけが救いだよ…」

また、訳のわからないことを。



「…今日は?図書館、行く?」


「今日は…いいや。」

「なんでぇ~…唯一の救いなのに…」


「ちょっと、用事があって。」


そう。本当に用事があって。
決して逃げてるわけじゃないからね。




「もう…今日来た意味ないし…」

「何しに来てるのよ」

「凛ちゃんに会いに?」

またドキッとする。
平常心、平常心。


「会ったでしょ」

「………そうだよね。」


そう言って佐藤奏はうなだれながら「早退しよう…そうしよう…」なんて呟いてる。