「…凛ちゃん?そんなに怒ってるの?俺何かしちゃった?」

「怒ってないもん!」

腹立つけど!!

「じゃあ何で帰るの?」

「だって…っだって!」

「うん」

「佐藤くんが…変なこと言うから…」

そう言って私は俯く。


腹立つ上になんだか恥ずかしくなってきて泣きそうになる。



「変なこと?」

「そうだよ!ドキドキさせるようなこと!」

「…俺、そんなこと言った?」

佐藤奏は考え込みながら
うーんと頭を人差し指で叩く。



「何言ったかわかんないけど、凛ちゃん、ドキドキしたの?」

「……し、してない」

「え?だってドキドキしたから帰るんじゃないの?」

うっ…そうだけど…

「してないよ!したけど!」

なんか認めたくない!




「まぁいっか。帰ろ?」

「…うん」


本当は。

すごくドキドキしたんだよ。

今までで1番ってくらい。

ドキドキしたんだよ。


でも言わない。

友達だから。