「ば、ばかなのっ? しぬの……っ? この変態っ!」



あたしは前髪がポンパドウル風になった響に、一発グーパンチを食らわせると、走って教室に向かった。

周りが、響のことに気がつきはじめていることも知らずに。
そして、自分がいつの間にか響に夢中になっていることにも気がつかずに。













「ってぇ……」

「派手にやられたねぇ」



響の目の前にいたのは、金髪の男、有田千尋。
座り込んでいた響を立ち上がらせると、くすくすと笑った。



「よかったじゃん。イケメンの響に気づいてくれてさ。しかもそれがあの梓ちゃんだろ?」

「別に気がついてほしかったわけじゃねーし。気がつかなくたって、俺は……」



響は千尋と一緒に教室に向かう。
助けてくれたときの、あの梓の微笑みを思い出して微笑をこぼしながら。