実は、俺に風邪を移すのを相当嫌がる。 まだ俺達が小学生の低学年だったころ。 実が風邪を引き俺が付きっきりで看病していたら俺に風邪が移り、とてつもなくこじらせてしまったことがあった。 そのとき、苦しんでいた俺の横で実はずっと泣いていた。 「お兄ちゃっ、ひっく、ごめんなさい、ごめんなさいっ」 「実、泣かないで」 掠れた声で言うと逆効果で、さらに涙をこぼす。