「かまわない。

小桃の美しい命が目の前で
消えるのは忍びなかった
だけのこと」



「ハ、ハイ」



あたしが返事すると、
玖狼様はフフッと笑いつつ
目線を銀に動かした。



「銀――そなたもご苦労だった。

姫の護衛、しっかりと
務めてくれたようだね」



「はい」



「私が眠りにつく以前より
銀の霊力が増しているのが
わかるよ。

そなたにも、これはよい
試練となったようだ――…」



そう話す玖狼様の顔から
フッと笑みが消える。


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