視界を取り戻したあたしの
前には、不思議なことに
もうあの球体も祭壇も、
何もない。


それに、地面が水に濡れた
気配もなかった。



ただ、舞台のように高く
なったその場所にあたしは
たたずんでて……

そしてすぐ目の前に、
一人の男の人が立ってた。



「あなた、は――…!」



目の痛くなるほどまばゆい
キラキラした長い白髪に、
同じく白い絹の装束。



女の人と間違っちゃい
そうなくらい線の細い
体と、優しい顔立ち……。


_