『すみません……あの、以前ここでお会いしませんでしたか?』 ………。 ナンパにしては ベタすぎやしないか。 『えーっと… すみません、人違いかと……』 答えてからその男をとっくりと見つめる。 そうですか、と申し訳なさそうに答えたその男は案外私の好みだった。 (いい男……) 派手な格好良さではないものの、端正な顔立ちと思慮深そうな瞳に図らずも私はときめいた。 その瞳が、つと私をとらえる。