「やっと見つけた……」



彼女に溺れながら
俺はそう呟く。



「啓一………っ」



泣きたくなるような切ない声音が
俺の耳をついた。



そして悟る。



君はまだ知らない。



だけどそう遠くない未来に君は過去の俺を見つけるだろう。



俺はずっと知りたかったんだ。



君は霧のように俺の前から消えたあとで、一体どんな未来を迎えたのか。



だけどいつだって俺は願ってた。



その未来が
俺と共にあればいいと。



「……離してたまるかよ」



強く彼女の耳元で囁くと、紅子は再度俺の名を叫んでから、静かに果てた。



END.