目が合うと、 ふんわりと紅子は笑う。 思わず目を逸らした。 (こ……これは…) ハンパなくやばい。 今までで一番ドキドキしている。 (中学生じゃあるまいし……) 彼女の笑顔ひとつで ここまでヤラれるなんて30を目前に控えた男としてどうなのか。 この調子じゃあ、キスどころか目を合わせることすら困難だ。 ましてやそれ以上のことを求められたら死んでしまう。 しかし、そんな日に限って紅子は空気を読まなかった。