そう言われて顔を上げ、目の前の彼女に声を失った。



「そ……その髪…」



かろうじて声を出すも
後が続かない。



「……?啓一?
どうしたの、具合悪い?」



「え……あ、いや…」



(………あの日の彼女だ)



手で口元を押さえ、
速まる動悸を
必死に抑えようとする。



尚も心配そうに見つめてくる紅子を脇に押しやって、俺は軽く息をつく。



「だ……大丈夫、だから。
心配しないで」



そして笑顔を作って彼女を見た。



「そう……?
ならいいんだけど」