「あ……あれ?」 上を見上げると、 金色に輝く下弦の月。 さっきまでの太陽はどこかに消えてしまったみたいだ。 「啓一?」 そして今まで感じていたはずの 彼の温もりもきれいさっぱり消えていた。 「……夢………?」 そのとき はらり、と何かが髪から滑り落ちた。 ひらひら舞うそれを見て 私は息を呑む。 「桜だ……」 しかも、私の服にだけ数えきれないほどの花びらが付いていた。 そこだけ、満開の桜が降ったみたいに。