3月1日【短編/企】



『……俺、は』



絞り出すように啓一は言う。



視線は下を向いたまま。



『俺は、貴女のその予言が本当かどうか知る術を持たない。だから、貴女が僕を怒る筋合いはないはずだ』



『……そうね』



『だけど、』



啓一の瞳が私を見据える。



今までで一番誠実で、
迷いのない瞳で。



『だけど、こんな美人を差し置いて、別の女のところに行くなんて、きっと未来の俺は世界一馬鹿だ』