3月1日【短編/企】



『何か、話してくれたら良かったの。私だって無理に縛り付けたいわけじゃない。好きな人が出来たなら、そう言ってくれたら別れたわ』



きっと少し辛いけれど、と呟いてまだ少年の彼を振り向いた。



少し涙で視界が滲んでいた。



いつから、私の方が好きになってたんだろう?



始まりは彼の方が私を好きだったはずなのに。



天秤はいつからか傾き、そのまま動こうとしてくれない。



私は啓一が好きなのだ。