そう言うと、 啓一は呆然と呟いた。 『僕と貴女が?』 その言葉に私は頷く。 『啓一が私をナンパするの。お茶しませんかって』 『んなベタな……』 『本当よ。 数年後分かる日が来るわ。 それから付き合うんだけど、啓一は浮気するの』 そして私は啓一を見つめる。 まだ無垢な啓一の瞳は、私のその台詞で気まずそうに歪んだ。 『だから私、怒ってるのよ。貴方が何も話してくれないから』 さっきの台詞を再度繰り返した後で、私はベンチから立ち上がった。