3月1日【短編/企】



そう言うと、
啓一は呆然と呟いた。



『僕と貴女が?』



その言葉に私は頷く。



『啓一が私をナンパするの。お茶しませんかって』



『んなベタな……』



『本当よ。
数年後分かる日が来るわ。
それから付き合うんだけど、啓一は浮気するの』



そして私は啓一を見つめる。



まだ無垢な啓一の瞳は、私のその台詞で気まずそうに歪んだ。



『だから私、怒ってるのよ。貴方が何も話してくれないから』



さっきの台詞を再度繰り返した後で、私はベンチから立ち上がった。