………本当に、夢? 少し考えたけれど、 隣の彼が何よりの証拠だ。 だって本物の啓一とは さっき喧嘩してきたばかりなのだから。 『……ねぇ、啓一』 私が何の気無しに名を呼ぶと、啓一はあからさまに目を見開いた。 『……な、なんで俺の名前…』 『? なに、驚いてるの。 …ああそっか。 まだ私たちが出会ってないって設定なんだ』 夢ならちょっとくらい融通効かせてくれてもいいのに、と思いつつ、私は得意げに口を開いた。