3月1日【短編/企】



………本当に、夢?



少し考えたけれど、
隣の彼が何よりの証拠だ。



だって本物の啓一とは
さっき喧嘩してきたばかりなのだから。



『……ねぇ、啓一』



私が何の気無しに名を呼ぶと、啓一はあからさまに目を見開いた。



『……な、なんで俺の名前…』



『?
なに、驚いてるの。
…ああそっか。
まだ私たちが出会ってないって設定なんだ』



夢ならちょっとくらい融通効かせてくれてもいいのに、と思いつつ、私は得意げに口を開いた。