その私の言葉に 彼は変な顔をした。 『……そんなはずない。 だって俺にとっては現実なのに』 顔を歪めてそう言う彼が 少しだけ可哀相になった。 少し、妥協してあげてもいいかもしれない。 『……そうなの? じゃあ私、夢と現実が分からなくなったのね』 呟いてから 私は彼の隣に腰をかけた。 ひんやりとしたベンチの感触が 夢にしては妙にリアルだなと感じた。