3月1日【短編/企】



『随分と酷いことを言うのね。しらばっくれてるつもり?私の夢の中でさえ』



そう言って
愛しげに啓一を見つめる。



彼は素敵だ。



全部、好きだった。



その戸惑った表情も、
うろたえて尚、誠実に私を見つめる瞳も。



『貴女の、夢……?』



か細い啓一の声に
私はやんわりと頷いた。



『そうよ、これはね、私の夢みたいなの。いつ私が眠ったかは分からないけどね』