‐出発の日‐









「見送り出来なくてごめんね?」




「(笑)…駅で泣きわめかれても困るから、ここでいいよ。」




出発当日、駅へ向かう前に、陸斗は瑛奈に会いに病院へ来ていた。






「何それ?寂しくて泣きわめくのは陸斗の方でしょ?」




「バカじゃん?俺は泣いたりしないもんね♪

…瑛奈こそメソメソしてばっかいるなよな?

…いい女になって待ってるって約束…

守れてなかったら、嫁にもらってやらねーからな♪」




残りの時間をいつものように、2人は冗談を言い合っていた。






「はいはい。

すっごくいい女になって、陸斗を見返してやるんだから♪」




「(笑)…楽しみにしてる。

俺もいい男になってくるから待ってろ。

…4年なんてあっという間だ。」




冗談交じりに話す瑛奈を抱き締めると、陸斗は瑛奈にだけ聞こえるように耳元で言った。






「…ッうん…ッ…ッ」




「…何、泣いてんだよ?」




「ッ泣いてないもん。」




陸斗の言葉に瑛奈は涙を拭った。






“チュッ”




「(笑)…じゃあ、もう行くから。

…またな☆」




「ッあっ陸斗!これ…手紙。

新幹線で読んで…

またね♪」




額に優しくキスをして立ち去ろうとした陸斗に、瑛奈は手紙を手渡すと、手紙を片手に陸斗は病室を後にした。



















“…綾香ちゃん

…これでいいんだよね?




きぃ

もうこの目では嬉し涙しか流さないって決めたから。




…陸斗が迎えに来てくれる日まで




…頑張るよ。