“コンコンッ…ガラッ”
「?…(…誰もいない。)」
綾香の病室に様子を見にきた陸斗は、ノックに返答がなくゆっくりとドアを開けた。
そこには誰もいなく、誰かが入院している形跡はなかった。
「…(あれ?ここでいいんだよな?)……あっすいません!
この病室にいた綾香ちゃんは、今は何処にいるんですか?」
空になっている病室の前で立ち往生していると、丁度廊下をすれ違いになった看護師に声を掛けた。
「…綾香ちゃんのお知り合いの方ですか?」
「…いえ、桜井瑛奈の知り合いです。瑛奈が綾香ちゃんの事を気にしていて。」
「…お知り合いの方以外には話せませんので。…申し訳ありません。」
「…(何だ?)」
陸斗の言葉に、看護師はそれだけ言うと、丁寧にお辞儀をして去っていった。

