「…何でさっきのお兄ちゃん泣いてたんだろ?」




「えっ?綾香ちゃん何?」




綾香が静かに呟いた言葉は瑛奈には聞き取れず、不思議そうに聞き直した。






「…ううん、何でもない♪

?!あっ雨降ってきた急いで戻ろ!」




2人の前に立った陸斗の目からは、涙が溢れていた。






あまりに変わり果てた瑛奈を見て、何て声を掛けたらいいのか分からなかったのだろう。






でも、その陸斗の存在に全く気づかずに、横を通りすぎていった瑛奈…




陸斗には残酷過ぎる状況だった。









「…ッ瑛奈…」




暫くその場に立ったまま動けずにいた陸斗…




陸斗の気持ちを表すような…




雨が空から降ってきた。