「…ッ(…瑛奈!!)」




「…?何ですか?」




病室に戻ろうと、2人が陸斗の座っているベンチの前を通り過ぎようとした時…




陸斗は思わず立ち上がると、2人の前に立った。




「…ッ…」




「…?綾香ちゃんどうしたの?誰かそこにいるの?」




陸斗は久しぶりの再会に、瑛奈の前に立ったまま、言葉を詰まらせていた…




車椅子を押す綾香が前に進もうとしない事に、不思議に思った瑛奈は口を開いた。






「…(!?ッ瑛…奈?…嘘だろ…)」




「…?ううん、何でもないよ。…知らない人。早くお部屋戻ろ♪」




前に立っている陸斗の姿に、全く気がつかない瑛奈に…




言葉が出てこなかった。






「(…俺が分からなかった?

…ッいや、そんな訳はない。

…見えてない…のか?)…嘘だろ…」




何もなかったように、陸斗の前から去っていく瑛奈の後ろ姿を見ながら…




陸斗は声を掛けるどころか、状況を飲み込む事が出来ずにいた。