「えっ陸ちゃん?…陸ちゃんは今はいないわ。」




「…そっか…」




智美は不思議そうに答えると、亜希子は安心したように肩を撫で下ろした。









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「さぁ、上がって。…紅茶でいいわよね?」




「…おじゃまします。」




智美に連れられ家に来た亜希子だが、智美に何をどう話したらいいのか分からなかった。






「…亜希ちゃん、私に話せる事があったら、何でも話してね?」




「…ッ…ッ智美…」




暫くの間、お互い無言のまま向かい合わせに座っていると、亜希子のあまりのやつれてしまった姿に、智美は心配そうに口を開いた。






亜希子の体力や、心はもう既に限界だった…




自分の子供が病気で苦しんでいる姿を見て、何もしてあげる事の出来ない、己の無力さ…




誰にも相談する事が出来ない辛さ…




亜希子を取り巻く全てが、既に限界だった。