「…だいぶ、落ち着いたみたい。」
「…あぁ。泣き疲れたんだな。」
安定剤を打ち、静かに眠る瑛奈の横で、亜希子と亮二が話していた。
「…私には何も瑛奈にしてあげられる事はないの?」
「…あるさ。傍にいてあげる事が何よりも大切な事だ。」
自分の無力さを訴える亜希子の手を握ると、亮二は優しく言った。
「…ッでも、瑛奈は陸斗君の事しか必要としてない…」
「ッそんな事ない!!瑛奈に亜希子は必要だ。
…ッ俺だって、自分の無力さには腹が立つけど、俺達がしっかりしないとダメなんだ!!」
「…ッうん…」
「…俺は父親なのに、仕事でなかなか来れなくて
…亜希子に全てを背負わせてしまって、本当に申し訳ないと思ってる。
俺も出来るだけ瑛奈の傍にいるから、亜希子も少し休みなさい。」
取り乱している亜希子を落ち着かせるように椅子に座らせると、亮二は申し訳なさそうに言った。

