“コンコンッ”
「…瑛奈。」
「………。」
病室に戻ってきた亜希子に全く気づかない瑛奈は、ただアルバムを見ているだけだった。
「…瑛奈…?」
「…ッ…ッ…」
アルバムを見ながら涙を流している瑛奈に、気がついた亜希子は急いで駆け寄った。
「ッどうしたの!?何処か痛いの!?」
「ッ…ママ…見えない…見えないよ…
ッきぃの目、最近おかしいの…ッ
…陸斗の顔を見ていたいのに…ぼやけるの…
ッどうして?…ッ…ママ…」
瑛奈は亜希子の腕を強く握ると、目の異常を必死に訴えた。
“ギュッ”
「…ッ瑛奈…ッごめんね…ごめんね…」
「ッママ…きぃの目は…見えなくなっちゃうの?
…ッ…ねぇ、ママ…」
涙が溢れだし、ただ必死に問う瑛奈を、亜希子は力強く抱き締めてあげる事しか出来なかった。

