‐数週間後‐
“コンコンッ”
「…失礼します。」
「桜井さん、お座り下さい。」
「…塞栓症の進行の方はどうなっていますか?」
「…はい…お母さん、落ち着いて聞いて下さい。」
いつものように、診察室に入り椅子に座ると、医師は話を始めた。
「………はい。」
「…視力に障害が出てきています。」
言葉を詰まらせたが、意を決したように返答した亜希子に、医師は静かに話始めた。
「…ッ…それはいつ頃から…目に直接障害が現れてくるのですか?」
「…もう既に、瑛奈ちゃんの目には異常が出ています。」
「!?…えっでもッ…」
「…瑛奈ちゃん自身も気がついているはずです。」
驚いたように言葉を詰まらせる亜希子に、医師は静かに言った。

