「今日は瑛奈に頼まれた物持ってきたわよ♪」
「ありがとうママ。」
いつものように病室に入ってくると、亜希子は笑顔で、瑛奈に頼まれていた物を差し出した。
「…写真なんてどうするの?」
「…陸斗の顔を忘れないように…」
亜希子が差し出した物はアルバムだった。
産まれた時から、中学校の卒業式に撮った写真まで、沢山のアルバム。
「ッ何言ってるの?!これから、いつでも陸斗君に会えるじゃない!」
「…(苦笑)…」
瑛奈の言葉に驚いた亜希子は力強く言うと、瑛奈は苦笑いをするように微笑んだ。
陸斗の顔を忘れないように…
瑛奈は何を思ったのだろうか?
その日から、暇さえあればアルバムを開いて、陸斗の顔を見ていた。

