‐数ヵ月後‐














「瑛奈、今日はいい天気よ♪少し、散歩しない?」




「…ううん。」




入院からずいぶん日にちが経ち、季節は春を迎えていた。






あまり外に出ようとしない瑛奈に、亜希子は心配そうに声を掛けた。






「そんな事言わないの!ご飯食べたら一緒に散歩に行きましょうね♪」




「………。」




元気のない瑛奈を少しでも、元気付けようと亜希子は笑顔で話を続けた。






“ガシャンッ”




「ッ瑛奈?!大丈夫?…着替えましょ。」




「………。」




昼食を摂っていた瑛奈は、手が滑ったのか、スープの入っていたお皿をこぼしてしまった。






「火傷はしてないわよね?」




「…うん…大丈夫だよ。」




スープがかかってしまった事に心配をし、慌てる亜希子に、瑛奈は静かに答えた。