「…分かったわ。」




「…ありがとうママ。」




必死にお願いする瑛奈に、亜希子は“分かった”と言うしかなかった。






瑛奈も自分には陸斗が必要な事は十分過ぎる位に分かっていた。






でも、自分が病気だと知ったら、きっと陸斗は苦しむと思う…




でも、陸斗はきっと自分の身を削ってまで、笑顔を絶やさずに、瑛奈の傍にいてくれるんだ…




パパやママのように…






だからこそ、陸斗にだけは言わないでいようと決めた…




好きな人にまで悲しい思いをさせる位なら、自分だけで背負おうと決めたんだ…






瑛奈のこのキモチは紛れもなく、陸斗に対する“愛”だったんだと思う…




自分の幸せよりも、相手の事を考える…






そんな小さな“愛”をただ…




瑛奈は必死に守ろうとしていたんだ。