‐数週間後‐
“コンコンッガチャッ”
「瑛奈、今日は綺麗なお花買ってきたわよ♪」
「………。」
綺麗な花束を抱え、笑顔で病室に入ってきた亜希子の言葉に、瑛奈は何も返す事はなかった。
「…瑛奈、他に何か欲しい物があったら言ってね♪」
「…ママ…毎日来てくれなくてもきぃは大丈夫だよ。」
戸惑いながらも笑顔で話を続ける亜希子の心を見透かしたように、瑛奈は力なく微笑んだ。
“大丈夫”と…
「…ッだってママ暇だから…瑛奈と喋る事位しか楽しみなくて(笑)」
「………。」
亜希子の言葉に瑛奈はそれ以上何も言う事はなかった。
日々、口数が減って、元気の無くなってきている瑛奈…
亜希子は正直、何をどう声を掛ければいいのかさえ分からなくなっていた…
だから笑顔で一生懸命ごまかしている事に、瑛奈は気がついていた。

