「…それだけって…お前、心配じゃないのかよ?」
「(笑)俺が心配したとこで、何か変わる訳じゃねーしな。」
唖然とした様子の海斗に、陸斗は笑いながら言った。
“ドカッ”
「ッ痛…何すんだよ?!」
「ッお前最悪だな。…もうお前はいいよ。」
陸斗の態度に頭にきた海斗は思いっきり、陸斗の頬を殴り付けた。
「ッ…どうせ俺に、瑛奈は幸せには出来ないもんな?」
「…お前…何言ってんだよ。」
捨てセリフを吐き、部屋を出ていこうとした海斗に、陸斗は静かに言った。
「………。」
「…あぁ…そうだったな。」
何も返そうとしない陸斗に、海斗はその言葉を残すと、部屋を後にした。
「アイツ…何やってんだよ…頼むから心配かけるなよ。」
1人、部屋に残された陸斗は、瑛奈の事を想い、呟いていた。
陸斗も瑛奈の事が心配じゃない訳がなかった…
でも、心配する権利すらないんじゃないかと思う心に、陸斗はどうする事も出来なかった。

