「…何してたん?」




「………。」




少し歩くと、陸斗は険しい顔で瑛奈に聞いた。






「………。」




「……行くぞ。」




何も話そうとしない瑛奈の手を握り、陸斗は歩きはじめた。









===









“ザーッザザーッ”




「…やっぱり寒いな…」




お互いに無言のまま、電車に乗り、陸斗が連れてきたのはいつもの海だった。






「…瑛奈どうしたんだよ?さっきのは瑛奈が悪いなんて思ってないよ。…何かあったんだろ?」




「…別に何もないよ。」




心配そうに聞く陸斗に、瑛奈はそっけなく答えた。






「…ここで約束した事覚えてるか?

…大切な事とか何かあったら、この海に来て何でも話し合おうって言った事。

……瑛奈がいつもと違う事位、俺にだって分かるよ?」




陸斗はさっき見た駒井との事を責めるのではなく、瑛奈の最近の異変の理由を心配していた。