「…遅い(怒)」




「ごめんごめん!ってか、ずっと見てたん?」




人混みを掻き分け出ると、そこには瑛奈が立っていた。






「うん、陸斗が他の子とイチャイチャしてたのもね(怒)」




「(笑)まぁね~俺って人気者だからさ♪」




不機嫌そうな瑛奈に、陸斗は上機嫌で言った。






「(怒)…あっ!!陸斗…ボタンは?」




「えっ?あぁ、何かワイシャツのも全部持ってかれた。」




学ランからワイシャツまでボタンが全てなくなっている事に気がついた瑛奈は大きな声で言った。






「………そっか…」




「(笑)何?欲しかったん?」




明らかにがっかりしている瑛奈に、陸斗は笑顔を見せた。






「ッ別に…陸斗のバカ…」




「(笑)瑛奈、手出して。」




「えっ?…はい。」




瑛奈は不思議そうに手を差し出した。






「えっ?…これ。」




「それだけは何とか取っておいたから♪」




陸斗はポケットに閉まっておいた第2ボタンを取り出すと、差し出した瑛奈の手の平の上にそっと置いた。