「…あッ…海斗君…私はッ…」
「…そっか☆…由奈帰ろう。」
慌てて否定するように首を横に振り、言い訳しようとする恵美の話を途切るように海斗は冷たい目で睨んだ…
そして恵美の話を聞かずに、由奈の方に向き直し、手を握り歩き出した。
「…大丈夫?」
「…うん。」
手を握ったまま少し歩くと、海斗は心配そうに口を開いた。
「…また何かあったら直ぐ俺に言って。」
「…ありがとう。」
何も話そうとしない由奈に、海斗は静かに言った。
こんな時、陸斗なら優しく手を差し出して、頬を冷やしてあげるんだろうと思ったが、不器用な海斗にはこれがイッパイイッパイだった。
“パッ”
「…ごめんね。」
「えっ?」
握っていた海斗の手を離すと、由奈は静かに言った。

