‐その日の夜‐














「…父さん、話って?」




「まぁ、とりあえずこっち来て座れ。」




陸斗は父親の自室に呼び出されていた。






「…陸斗、進路どうするんだ?」




「…まだ決めてない。」




陸斗を座らせると、父親は口を開いた。






「…陸斗の人生だから、将来の事に口出しするつもりはない。

だけど、どんな学校でもちゃんと高校だけは卒業しろよ。」




「…えっ?」




てっきり説教をされると思っていた陸斗は、父親の言葉を聞いて拍子抜けした。






「学生の内は、やりたい事や遊ぶのも大切な事だからな(笑)

父さんは陸斗の事信用してるから、口出すつもりはないよ。」




「…ありがと☆」




父親の言葉に、陸斗は今まで思い詰めていた気持ちが大分楽になっていた。






陸斗の父親は若い時に自分で立ち上げた会社があり、小さい頃から陸斗は小さいながらに、自分が父親の跡を継ぐんだと思っていた。




小さい頃はそれが夢だったし“父さんみたいになりたい”と、その為に勉強も沢山して成績もトップを維持していた…




でもいつの日からか、期待されればされるだけ、それが重荷に感じるようになり、勉強に手を付けなくなっていた。




陸斗は今日、父親と話した事で肩の重荷が取れ、随分楽になっていた。