「ハァハァ…桜井…」
「ッ嫌…ッ嫌ッ!!」
健介は自分の唇を瑛奈の唇から離すと、透き通るような白い首筋に持っていった。
“ブーッブーブー”
「…ッ陸斗…」
マナーモードのまま着信が鳴っている携帯を横目で見ながら、瑛奈は助けを求めるように涙を流し、陸斗の名前を呟いた。
“バンッ!!!!”
「…ッ陸斗。」
「ッお前何やってんだよ!!!!」
ドアが勢いよく開くと、携帯を片手に陸斗が立っていた。
“ガンッドカッ”
「ッ陸斗ッ!!!!何でお前がッ」
「ッお前、瑛奈に何してたんだよッ!!!!」
勢いよく瑛奈達の所まで駆け寄ると、陸斗は健介の言葉を聞かずに胸ぐらを掴み、気のままに殴り続けた。
「…ハァハァ……ッ瑛奈、行くぞ。」
「………。」
数回殴り、健介がぐったりすると、陸斗は瑛奈の手を掴み、部屋を後にした。
===
「ッお前何やってんだよ!?ッ何で健介なんかと一緒に!!!!」
「…ッ…ごめん…」
手を繋いだまま店を出、人通りの少ない所まで行くと、陸斗は力強く言った。
「…ッ…ごめんね…」
「ッ………」
涙を流しながら力無く何回も呟く瑛奈に、陸斗は健介に対しての怒りが溢れ出していた。

