「…ねぇ、陸斗歌わないの~?
…さっきから誰にメールしてるの?」
「いや…ちょっと。」
カラオケの個室に入っても、陸斗は瑛奈と健介の事が気になって、歌どころではなかった。
「(ッ何で瑛奈メール返さねーんだよ。)」
「ねぇ、陸斗どうしたの?瑛奈ちゃん達見てから何か様子おかしいよ。」
瑛奈達を目撃してから、明らかに様子がおかしい陸斗に、あゆみは不思議そうに言った。
===
「…桜井は今は彼氏いるの?」
「…いないよ~。」
陸斗のメールに気がつかない瑛奈は、健介とカラオケの個室で話をしていた。
「…陸斗の事まだ好きなの?」
「!?…そうゆう健介君は好きな子とか彼女いないの~?」
健介の質問を流すように瑛奈は言った。
「…俺は好きな子いるよ。」
「…!?そうなんだぁ…」
目を真っ直ぐ見つめながら言う健介に、瑛奈は目を思わずそらした。
“サラッ”
「ッ(…桜井。)」
「!?!?えっ!?」
目を背けた時に流れた瑛奈の髪の匂いに、健介は自分の中で熱くなるものを感じた。

