「…健介君。」
「久しぶり!」
瑛奈を呼び止めたのは、小学校の時の同級生の健介だった。
昔から何かとちょっかいを出してくる健介は、瑛奈にとって苦手な存在だった。
「うん…久しぶり☆
…こんな所で会うなんて珍しいね?」
「まぁ、ちょっと…こっちで用事あって。」
健介の言葉に瑛奈はぎこちない笑顔で言った。
「そっか…じゃあ、ね☆」
「…あっ…」
足早にその場を立ち去ろうとした瑛奈を、健介は呼び止めた。
「えっ?」
「ッ…桜井って携帯とか持ってる!?…番号教えて。」
もう一度振り返った瑛奈に、健介は言った。
「あっ…うん。」
「…じゃ、今度電話する!」
瑛奈は断れずに番号を教えると、健介は嬉しそうに去っていった。

