「…別に。(…陸斗にあって)
…俺に足りないモノって何だろ。」
「は!?…お前なんか変だぞ。
…ってか、海斗ほど完璧な奴に俺は会った事ねーけどな。」
ボソッと話す海斗に、陸斗は不思議に思いながらも言った。
「…あぁ~!!本当…ッ…スゲー…悔しい。」
「何!?おまッ…泣いてんの?」
海斗の目からは涙が溢れていた。
「ッ…ッウルセー。」
「………。」
涙を流す海斗に、陸斗はそれ以上何も言おうとはしなかった。
陸斗の前で海斗が涙を見せたのは何年ぶりだろうか…
何年ぶり…
いや、陸斗は海斗の涙を見た事がなかった。
感情を素直に出すのが苦手な海斗…
でも、瑛奈に対してはずっと気持ちを隠さずに大切に想ってきた。
でも、幼なじみ以上に想い合えなかった事に…
長かった小さな恋の結末に…
海斗は涙を抑える事が出来なかった。
陸斗はなにも聞かずにただ、海斗の涙が枯れるまで傍にいた。

