きみのうた



「紗綾ちゃんとはね、中2の時にクラスが一緒で。中2の時もいじめられたんだ。智美とはクラスが別で。そんな時に紗綾ちゃんが止めてくれて。大丈夫?って言ってくれた。初めてで嬉しくて。泣きそうになった」

「・・璃乃の学校って凶暴だな」

「でしょ。普通だったもん、それが。紗綾ちゃんに助けてもらってからはもうあたしも荒れたね。今までいじめてきた人に全部お返し。殴る、蹴るの繰り返し。あん時はもう超楽しかった」

「・・・それがあったから今の璃乃が居るんだもんな」

「まあ、そゆことかな」

「ちゃんと飯、食ってる?」

「え?うん、まあ一応」

「ちゃんと寝れてるか?」

「うん。眠いもん」

「ならいいか」

「智哉、お母さんみたいっ」

「ばーか。俺はお母さんじゃない。お父さんだっ!」

「いやいや」

胸張らなくてもいーでしょ・・・。

「やっべ。俺、これからバイトなんだわ」

「あ、うん。いいよ。行ってらっしゃい」

「1人で平気か?」

お母さんは今、どこかへ出掛けてる。

お父さんは仕事で居ない。

だからみんな、心配して家に来てくれてたんだ。

「大丈夫だよ。あたし、ここに居るから」

「怖いなら佐々野、呼ぶけど」

「大丈夫だよ。早く行かないと遅刻だよ?」

「おぉ・・。じゃあ行ってくるからな」

智哉はあたしのほっぺにキスをして家を出た。